2015年11月26日木曜日

三省堂国語辞典編纂者の飯間浩明先生「わたし「イケメン」ウォッチャーなんですよ」

「チャンピオン」や「りぼん」から国語辞典にのせたい言葉を探す - デイリーポータルZ:@nifty
この記事めっちゃ面白かった!名企画だと思う。やっぱり記事の面白さはすべからく企画にあるんだね。
文中で突如出てきた三省堂国語辞典編纂者の飯間浩明先生の「わたし「イケメン」ウォッチャーなんですよ」
発言には吹いてしまったwww。詳しくは元記事を読んでもらうとして、この方別にお姉系ではなく、
二枚目、ハンサム、男前など、かっこいい男の人を表す言葉って寿命が短いので、「イケメン」は
いつまで世間で使われるんだろうというのをウォッチしているという意味ね。

ちなみに飯間氏は前にマスコミから無料で仕事を頼まれたときのスマートな断り文句をツイートしていた方。

さて、この記事がなんですごく面白いと思ったのか、頭のなかの整理がてらまとめておこうかね。
・国語辞典の作り方の一端が記事を通して具体的に見えた
・特に「用例採集」という辞書に載せるべき言葉を探す作業が何やっているのかがよくわかった
・協議の様子を通じて、何を辞書に載せて何を載せないのかの具体的な基準が見えてきた
・同じ三省堂の国語辞典でも新明解国語辞典と三省堂国語辞典ではスタンスに違いがあることがわかった
・刃牙道の「開始(はじ)まっちまってる」とか「技術(わざ)が使用(つか)えん」とか、どう考えても作者の作風としてわざとやっているだけのものを真面目に、ルビがおかしいとか中国人ぽさを表しているのかとか議論してるwww
・漫画を使って用例採集を行うというこの企画を通じて実際に辞書にまだ載っていないが載せるべき言葉が見つかってしまった
・「賞金首」というONEPIECE等の漫画や西部劇などでお馴染みの言葉が、どの辞書にも載っておらず、国語辞典編纂者の飯間浩明先生も全く知らなかったという驚きの事実

まさかの「賞金首」が辞書に載っていないというのは驚きだね!でもこれを発見した三省堂国語辞典の
初代編集主幹、見坊豪紀(ひでとし)氏の孫であり、辞書マニアの見坊行徳氏もすごい。
どう考えてもこの人も編纂委員やった方がいいよな。

あ、そうそう、元記事であった新明解国語辞典のちょっと変な語釈(言葉の解説)が多いというのは、
代表的なのは「恋愛」の定義とかだと思う。検索でも下記の通りね。
言及しているサイトあった。
新明解国語辞典の魅力(入門編その1)
高校の時の国語の先生から聞いて私も知ったんだけど、新明解の第4版での恋愛の定義が下記。

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れんあい【恋愛】 
 特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態 (第4版)
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合体ってwwwwそこまで書くかって感じだけど、飯間先生によると、こんな一見攻めまくっているように
見える新明解国語辞典も、俗な使い方をあまり載せず、語釈も保守的なものが多いらしい。
逆に三省堂国語辞典の方が新語や俗語を積極的に載せたりしているとのこと。たしかに、収録語数
については新明解は多くなかった記憶だなぁ。学生の頃は収録語数しか見てなかったからね。
当時は多いほうが正義だと思っていたんだよ。だから英和辞典も自分は収録語数7万語の
ライトハウスを使っていたけど、収録語数10万語のジーニアスを持っている人が羨ましかった。

そんな収録語数という指標しか持っていなかったところから、新たな視点を獲得できたのはかなりの
収穫だなぁ。かなりバズっているし、用例採集のやり取りをカットしてない完全版の記事を公開したら、
さらにいろいろな人に読まれるんじゃないかなぁ。これはデイリーポータルZでも屈指の良記事だと思う。


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