2015年11月11日水曜日

プロ野球における失格選手とは

野球賭博問題で2015年11月10日に福田 聡志、笠原 将生、松本 竜也の3名の巨人の投手が
失格選手として処分された。さて、プロ野球の失格選手とは一体何なんだ?と疑問に思った人も
多いだろう。失格選手とは、日本のプロ野球球団と、選手契約に関する協定を結んでいる米国、
韓国、台湾、中国の各リーグでもプレーを行う資格を失った選手のことである。

失格選手の定義に関しては日本プロフェッショナル野球協約に記載があるので、それを見るのが
よいだろう。失格選手に関する該当記載箇所の第60条を抜き出して下記に記載する。重要部分を
太字で表示しておく。
http://jpbpa.net/up_pdf/1284176133-994935.pdf

第60条 (処分選手と記載名簿)
選手がこの協約、あるいは統一契約書の条項に違反し、コミッショナーあるいは球団により、
処分を受けた場合は、以下の4種類の名簿のいずれかに記載され、いかなる球団においてもプ
レーできない

(1)出場停止選手と出場停止選手名簿(サスペンデッド・リスト)
球団、あるいはコミッショナー、又はその両者は、その球団の支配下選手に対し、不品行、
野球規則及びセントラル野球連盟、パシフィック野球連盟それぞれのアグリーメント違反
を理由として、適当な金額の罰金、又は適当な期間の出場停止、若しくはその双方を科す
ことができる。球団、あるいはコミッショナー、又はその両者によって出場停止処分を科
された選手は、コミッショナーにより出場停止選手として公示され、出場停止選手名簿に
記載される。出場停止選手は、出場停止期間の終了とともに復帰するものとする。
出場停止選手の参稼報酬については、1日につき参稼報酬の300分の1に相当する金額
を減額することができる。
(2)制限選手と制限選手名簿(レストリクテッド・リスト)
選手がその個人的事由によって野球活動を休止する場合、球団はその選手を制限選手とす
る理由を記入した申請書をコミッショナーに提出する。コミッショナーが、その選手を制
限選手とすることが正当であると判断する場合、その球団の申請は受理され、コミッショ
ナーによりこの協約の第78条第1項の復帰条件を付し制限選手として公示され、制限選
手名簿に記載される。
制限選手の参稼報酬については、1日につき参稼報酬の300分の1に相当する金額を減
額することができる。
(3)資格停止選手と資格停止選手名簿(ディスクオリファイド・リスト)
この協約に別に定める場合のほか、統一契約書又はこの協約の第68条で規定する(保留
の効力)に違反した選手はコミッショナーによりこの協約の第78条第1項の復帰条件を
付し資格停止選手として公示され、資格停止選手名簿に記載される。
資格停止選手の参稼報酬については、1日につき参稼報酬の300分の1に相当する金額
を減額する。
(4)失格選手と失格選手名簿(インエリジブル・リスト)
この協約の第177条に規定する行為をした選手は、コミッショナーにより永久失格選手
として指名され、失格選手名簿に記載される。
この協約の第180条に規定する行為をした選手は、コミッショナーにより1年間、又は
無期の失格選手として指名され、失格選手名簿に記載される。



つまり失格選手は、プロ野球選手としてプレーをすることができない4種類の名簿登録の中でも
一番重い処分ということになる。

なお、上記で記載のあった177条と180条に関しても抜粋をする。これも重要部分を太字で記載しておく。
先に記載しておくと、今回は賭博行為による失格選手登録なので、第180条への該当行為。
つまり、1年間または無期の失格選手になる。今回の巨人の3選手は無期の失格選手に指名されたので、
失格選手の中でも永久失格選手に次ぐ2番目に重い処分で、少なくとも5年間はどの球団でも
プレーができないことになる。


第177条 (不正行為)
1 選手、監督、コーチ、又は球団、この組織の役職員その他この組織に属する個人が、次の不
正行為をした場合、コミッショナーは、該当する者を永久失格処分とし、以後、この組織内
のいかなる職務につくことも禁止される。
(1)所属球団のチームの試合において、故意に敗れ、又は敗れることを試み、あるいは勝つ
ための最善の努力を怠る等の敗退行為をすること。
(2)前号の敗退行為を他の者と通謀すること。
(3)試合に勝つために果たした役割、又は果たしたと見做される役割に対する報酬として、
他の球団の選手、監督、コーチに金品等を与えること、及び金品等を与えることを申し込
むこと。
(4)試合に勝つための役割を果たした者又は果たしたと見做される者が、その役割に対する
報酬として金品等を強要し、あるいはこれを受け取ること。
(5)作為的に試合の勝敗を左右する行動をした審判員、又は行動をしたと見做される審判員
に対し、その報酬として金品等を与えること、又はこのような申し入れをすること。
(6)所属球団が直接関与する試合について賭をすること。
2 前項の規定により永久失格処分を受けた者であっても処分後15年を経過した者でその間善
行を保持し、改悛の情顕著な者については、本人の申し出により、コミッショナーにおいて
将来に向かってその処分を解くことができる。
3 前項の規定により処分を解かれた者が、選手として復帰を希望するときは、第76条所定の
手続によらなければならず、かつ、第78条第1項の規定に従うものとする。

第180条 (賭博行為の禁止及び暴力団員等との交際禁止)
1 選手、監督、コーチ、又は球団、この組織の役職員その他この組織に属する個人が、次の行
為をした場合、コミッショナーは、該当する者を1年間の失格処分、又は無期の失格処分と
する。
(1)野球賭博常習者と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間で、金品の授受、饗応、
その他いっさいの利益を収受し若しくは供与し、要求し、申込み又は約束すること。
(2)所属球団が直接関与しない試合、又は出場しない試合について賭けをすること。
(3)暴力団、あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者、その他の反社会
的勢力(以下「暴力団員等」という。)と交際し、又は行動を共にし、これらの者との間
で、金品の授受、饗応、その他いっさいの利益を収受又は供与し、要求又は申込み、約
束すること。

2 前項の規定により無期の失格処分を受けた者(後に期限が定められた者を除く。)であっても
処分後5年を経過した者でその間において善行を保持し、改悛の情顕著な者については、本
人の申し出により、コミッショナーにおいて将来に向かってその処分を解くことができる。
3 前項の規定により処分を解かれた者が、選手として復帰を希望するときは、第177条第3
項の規定を準用する。
第180条の2 (球団による暴力団員等の球場への入場禁止措置)
球団は、暴力団員等が当該球団の専用球場及びホーム・ゲームを行う地方球場(以下、本章
において「球場」という。)に立入ることを禁止するよう最大限努力する。
第180条の3 (球団による球場に対する協力要請)
1 球団は、球場を所有し又は管理する者に対し、球場の役職員、あるいはその他球場の運営に
関わる組織に属する個人が、第180条各号の行為をすることのないよう監督することを求
めるものとする。
2 球団は、球場を所有し又は管理する者に対し、前条の措置を実行するために必要な協力を求
めるものとする。




ちなみに、失格選手になると日本プロ野球12球団でプレーできないだけでなく、選手契約に関する
協定を結んでいる米国、韓国、台湾、中国の各リーグとも選手契約は結べない。つまり実質的に
選手生命は断たれたと言ってよいだろう。