2016年3月30日水曜日

たしかに真逆の研究結果とかもあってわかりにくい「癌患者の家族を助けるもの」

癌患者の家族を助けるもの
でも癌治療って原発と似ていて、意見が敵対していることが多い。
抗がん剤受けるべき派 VS 抗がん剤ダメ絶対派
健康療法&食事療法は金の無駄派 VS 健康療法&食事療法に勝機あり派
スピ系&神頼み無駄派 VS あなたの知らない世界系影響力重視派
「間をとって抗がん剤受けながら健康療法しつつちょっと食事療法と神頼みも」
みたいなことをすると「それじゃ水の泡だ!」と両陣営から叩かれたりね。それでブログが「生前お世話になったみなさまへ」で終わってたりすると「ほらみたことか」ってなる。
あー、そうそう。この記事読んでいて気になった部分を上記に引用したんだけど、難しい問題だと思う。
金の延べ棒で撫でる、みたいなニセ科学みたいなのは論外としても、それなりに試してみる価値の
あるエビデンス(研究結果)がある健康療法とかもあったりするっていうのと、あと、それを否定する
研究結果とかもあったりして、患者側はどっちを選べばいいのか決めにくいんじゃないかなって
思うことはある。

一例を挙げると、消費カロリーを制限することで、マウスの寿命が伸びるというのは既に知られている
ことなんだけど、じゃあ人に近いサルではどうなんだというと、カロリー制限したサルの寿命が伸びた
という研究結果と、伸びなかったという研究結果があったりするのよ。この記事ね。
カロリー制限で寿命は延びるのか…論争が再燃!?

まぁ、この記事では、寿命が伸びなかった方の実験のサルは、健康的な未精製の食事を適量
与えていたからだ、みたいに結論づけているけれども、こういう真逆の研究結果とかがあったり
すると、どっちが正しいのか素人にはわかりにくいから、どっちを選ぶか決断を迫られるんだよね。
それが大変なところだと思う。

ちなみにガンの食事療法で有名なのは、ゲルソン療法というのがあって、これは、マクロビ食(菜食主義)
みたいなのとごっちゃにしている人もいるんだけど全然違って、これは尿中のカリウム/ナトリウム
の比率を11.55以上にすることで、ガンを消すという方法なんだよ。つまり塩は厳禁!カリウムが
多く含まれるのは野菜だから、野菜食を食べる、ということなんだけど、この療法の本質は、
菜食主義にあるのではなく、塩を徹底して取らない、というところにある。

ちなみに、「尿中のカリウム/ナトリウムの比率11.55以上」の根拠なんだけど、これは渡邉勇四郎
という医者が転移ガンに掛かって、ゲルソン療法を試しながら尿中のカリウム/ナトリウム比を
取り続けて、11.55以上になったときにガンが消えた、というのが根拠になっている。

自分の体で検証したんだね、この人は。で、じゃあ体を張って渡邉氏が導き出したこの結果を、
西洋医学基準の強いエビデンスとして押し出せるかというと、押し出せないんだよね。
強いエビデンスとして発表するには、資金も時間も人数もいる、大規模な試験をしないといけないから。
でもその多額の資金、人員を出せるスポンサーなんて、製薬会社しかいないわけだから、こんなのに
資金なんか出さないわけよ。薬じゃないし。製薬会社、儲からないし。

つまり何がいいたいかというと、食事療法に関しては、構造上、強いエビデンスを確立するだけの
資金を獲得できないから、仮説レベルの結果にとどまってしまうことが多いということ。そして、
西洋医学で治らないと言われた人は、そのまま医者の言うとおりにしていても死ぬだけだから、
何かしら他のことも試す必要に迫られるのだけど、仮説レベルの弱いエビデンスしかない有象無象の
健康療法の中から、自分のやることを選択しなければならない状況になるんだよ。それがきつい
ところだと思う。


あなたのがんを消すのはあなたです 厳格なゲルソン療法体験記
渡邉 勇四郎
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