2013年12月17日火曜日

あっ、プリティーリズムの人!「音響監督さんのお仕事Q&A ~長崎行男さんに聞く~」

音響監督さんのお仕事Q&A ~長崎行男さんに聞く~
おっ、はてブに上がってた記事のタイトルに見たことのある名前が・・。長崎行男さんって、
プリティーリズムシリーズの音響監督じゃないか!プリリズの曲は好みのものが多いので、
これはぜひ読まねば!あと有名ドコロだとラブライブの音響監督もこの人だったかと。

なになに、ツイッターをフォローしてて、ダメ元で対談を申し込んだら長崎行男さんとの対談が実現
したって、元記事書いた人、行動力すげーな。興味深かったところを読みながらメモしていこっかな。


長崎行男さんによると、音響監督というのは効果音、音楽、セリフの3つを統括している人とのこと。
アメリカだとそれぞれ職種が分かれているみたい。

日本のアニメーションは東映から始まったらしい。そして東映が最初に作った白蛇伝というアニメは
ロトスコープで描いているらしい。惡の華の影響でロトスコープといういわゆる実写トレースの手法の
認知度が上がったと思うけど、この頃からそんな手法があったのか、なるほど。

でまぁ、東映は実写的な考えでアニメを手がけているので昔も今も音響監督なしで作ることが多いらしい。
東映のスタッフに手塚治虫がいて、後に虫プロを作るが、ここも音響監督はなし。で、虫プロにいた
スタッフが独立して音響監督というポジションを作ったらしい。毎週放送するアニメに関して絵と音を
分けないと負荷的にきついという状況になったため。

どうも昔はアニメ制作会社に付随する音響制作会社はほぼ固定だったのだけど、アニメの本数が
増えて、制作費も下がってきて、アニメの制作委員会に出資する音響制作会社も出てきたりで
自由化が進んでいるらしい。そして長崎行男さんはフリーでやっているとのこと。


音響監督になるには、というところでいうと音響制作会社に入るのがひとつの手らしい。
音楽が好きであれば必ずしも楽器や作曲が出来る必要はないとのこと。ちなみに長崎行男さんは
音楽畑出身。ただ、音楽畑でない人もたくさんいるらしい。そういえば声優出身の音響監督も
いた気がする。え~と、ドルアーガの塔の音響監督やってた人とか。郷田ほづみさんだ。


お!ここはびっくり!私は音響監督って声優をキャスティングする権限を持っているから、若くて
きれいな女性声優に媚売られ放題とか思ってたんだけど、長崎行男さんいわく、決定権は音響監督には
なくて、監督にあるらしい。そういえば女性向けドラマCDなどの作品を多く手がける音響監督の
ハマノカズゾウ氏も音響監督はそんなに権限無くて原作者の意向が色濃く反映されると言ってたな。
これ本当?音響監督のハマノカズゾウ氏いわく、声優のキャスティングに原作者が大きな影響力を持っているらしい

そして、アニメ、映画、テレビなどでは演技指導はしていないらしい。というかしている時間がない。
演劇だけは1ヶ月くらい時間があるからできるみたいだけど。基本的には演技の上手な人を集めて
役者が良い演技ができるような場を作るのが音響監督の仕事とのこと。

ちなみに今の声優はけいおん!みたいな日常系の演技はできるけど、 キルラキルみたいな
ハイテンションで感情表現を豊かにやるような演技が苦手らしい。他、相手役の反応を見て
演技を変えるみたいなことも苦手みたい。


やばい!これ読んでて超面白いぞ!長崎行男さんが言うには、売れてる声優が同じ時期に
いろいろな作品に出ているのはコネでも事務所のゴリ押しでもなくて、きっちりオーディションを
やっていて、うまい人を選ぶとそうなってしまうらしい。へ~~~!そうなのか。

これ、ごくごく最近の例で言うと、声優の逢坂良太さんがやたら主役を取りまくっていて
(wiki見てみるといいけど俺修羅、ヴヴヴ、はたらく魔王さま!、ダイヤのA、ローゼンなどやたら多い)、
掲示板でちょっと言われていたけど、こういうのもオーディションだったのか。なるほどね。
アニメは声だけで表現することになるから上手い下手が露骨に出るらしい。

音の付け方に関しては、子供向けのものは子供が飽きるのでシーンごとにつけて、大人向けの
ものは長めに使うとのこと。短めのものはプリリズとかってことか。長めのものは、最近特に
印象的だったのは、きんいろモザイク1話のBGMの使い方はたしか長めだったと思うけどかなり
印象に残ったな。


これも面白い。アメリカではテンプミュージック(多分temporary music、一時的な音楽の略かと)と
いうものがあって、まず有り物のテンプミュージックを映像に付けて、その音楽の雰囲気に似た
曲を各シーンに当てて作っていくらしい。だからあるシーンの曲の雰囲気が別の曲に似ているのは
当然とのこと。


ここも面白そう。長崎行男さんの経歴。
漫画家志望→映画監督志望→ホリプロに入社→レコード制作部門でADをやる→劇伴制作にも関わる
→真田広之の映画のレコーディングディレクターをやる→エピックソニーに転職→マイケル・ジャクソンの
スリラーが流行ってPVの時代に→森田芳光監督と一緒に映画音楽を担当するようになる
→実写映画の音楽をやっているうちにアニメ音楽も担当するようになる(シティーハンターとか)
→47歳でソニー・ミュージックをやめてフリーで音響監督をやって今に至る
という感じ。


読み終わった。この対談、記事としてはかなり長いけど超面白いな。アニメのテロップでしか
見ることのなかった音響監督という仕事がかなり具体的にわかったし、ネット上でよくある誤解に
関しても、音響監督自らの言葉でいろいろ聞けたのは有意義だったな。あと、経歴の部分見ていて
思ったのは、縁みたいなのがすごく大事なんだな。わらしべ長者じゃないけど、ホリプロのADから、
いろいろな人や仕事との縁によって今の仕事につながったというのは読んでいて感じた部分。

逆に音響監督になりたい人が狙ってこの道を辿るのも難しそうだな。冒頭で長崎行男さんも言って
いたけど。