かなり面白かったので、ちょっとまとめておこうかなと。
まず、一番衝撃的だったのは、一般的な人がなんとなく思い描いている
高校もしくは大学卒業→声優学校→声優プロダクション養成所→声優事務所に所属して声優になる
というルートが存在するというのは大きな間違いであるということ。
そもそも声優は職業ではない。身分の保証も仕事の保証もない極めて不安定な肩書であるということ。
声優プロダクションに所属しようが仕事がなければ声優とは言えないし、仕事は常に他の有名声優や
ものによっては俳優とも取り合いをしなければならない状態なので、なんの効力もない極めて不安定な
肩書であると。つまり、「声優に就職することはできない」ということだ。
これは、言われてみればなるほどなと。だから声優学校→養成所→声優事務所みたいなルートを
思い浮かべているような人は、その時点で見込ないから声優になるのをさっさと諦めたほうが
いいんだろうね。私も含め、そういう人はレールがないと進めない人だから、「就職することができない」
ような不安定なルートを進むことはとてもじゃないができないと思う。
次に大塚明夫氏が語っていたのが仕事にあぶれる声優が多い理由について。
1960年代は全体で50の声優の仕事の枠に50名の声優があてがわれている状態だったが、
現在はたった300の仕事の枠を1万人以上の声優が奪い合っている状況とのこと。
つまり仕事の求人量に対して、志望者が多すぎるということだ。
気になったのは数字の部分。300という数字はFate/Zeroで大塚明夫氏と共演をしたウェイバー役の
浪川大輔氏がテレビでまったく同じことを言っていた。その時のキャプチャーがこれ。
声優を目指している人は30万人いて、声優自体は1万人、食べられる人は300人しかいないと。
つまり専業声優には300人しかなれないというのは現場の声優の共通認識ということだ。
だからこんな異常な競争率のものを「職業」として選ぶべきではないと書いている。
実家が金持ちとか、安定した職業の人のお嫁さんになれるような人でなければ近づくべきではない
と語っている。
これもたしかにそうだろうね。そうじゃないと失敗したときのリスクが高すぎてみじめになると思う。
実際、実家がお金持ちのお嬢さんが声優をやっているという例は多い。例えば上坂すみれさんとか、
これ自宅の写真ね(笑)。シャンデリアがある・・。
あとは最近やけに人気な佐倉綾音さんも実家が金持ちなことで有名。この人ね。
こういう人たちは声優の職業が極めて不安定であったとしても、仕事がなくなってみじめなフリーター
生活に陥ることはないから別に問題はないわけよ。金持ちお嬢様がやるピアノ講師みたいなものさ。
他の例としては、林原めぐみさんが、不安定な声優職に保険を掛ける意味で、看護師の資格を
取ったというのは有名な話だし、それに影響を受けた洲崎綾さんも東京学芸大で教職の資格を
取った上で声優になっている。
声優という職業の弱みについても大塚明夫氏は述べている。それは声優は仕事を作れないこと。
例えば漫画家なら自分で作品を作って出版社に売り込みに行くことができるが、声優は作られた
作品に声を当てるチャンスを待つことしかできない。仕事を得るために出来る努力が限られるという
ことだ。
知らなかったのが、声優は人気がすべてということ。私はてっきりオーディションを勝ち抜く実力なのだと
ばかり思っていた。ところが、固定ファンが多くつくとキャラソンCDが何枚売れるか、イベントで何人
呼べるかなどの判断で仕事がもらえるということが多いようだ。ただ、人気とは移ろいやすく不安定なもの
なので、ちょっと第一線を離れればすぐに過去の人になってしまうということも合わせて言っている。
人気しかない人と人気も実力もある人では安定性がぜんぜん違うということ。
ギャラに関してもかなり詳しく書かれている。
一番下のジュニアと呼ばれるランクの声優は仕事1本当たりのギャラが15000円。つまり30分アニメ
1クールの主役になった場合、ギャラの合計は15000円x12話=18万円。3ヶ月の収入が18万円という
ことになる。作品が二次使用されるとこれが2.4倍になって合計43万円になる。
ギャラの金額は拘束時間に対してではなく、作品の長さ。つまり30分アニメの収録であれば、
何時間拘束されようが、ギャラは15000円。安いな・・。主役1本持っても食えないということだ、つまり。
大塚明夫氏が書いていたことで重いなと思ったのが、「才能がないやつはダメ」という残酷な事実。
女性声優は容姿の要素が売れる売れないに結構影響している印象を受けるけど、特に男性声優
の若手とかを見ていると、たしかに売れている人は圧倒的な実力を持っている印象を受けるね。
声優学校なんかに行かずに、山寺宏一氏の事務所に直接ボイスサンプルを送って声優になった
花江夏樹さんとか、あと俺ガイルの主人公の比企谷八幡とか俺物語!!の主人公の剛田猛男を
やっている江口拓也さんとか、挙げた2つの役が同一人物とはとても思えない演技をしている。
「矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか」の生コポォwwプロポーズとかもやばかったwww。
女性声優の重要な才能要素である容姿とかも求められるレベルがどう考えてもおかしいから。
最近の売れっ子声優である雨宮天(あまみやそら)さん。
トレーディングカードゲームで有名なブシロードの声優部門の看板声優、三森すずこさん。
ということで、もう完全に容姿は芸能人レベルだ。アイドルの中でも間違いなく上位に入るレベルの
人たちだ。写真集が売れるレベル、有料イベントに男性ファンをわんさか呼べるレベルの容姿が
ないと専業声優にはなれないということだ。
ということで思うことを長々書いてきたが、まとめると
・声優なんてやたら人気職種な割に俳優ほどお金がもらえるわけでもなく、300人しか専業声優になれないハイリスクローリターンな職業だからなるのはやめたほうがいい
・「声優学校→養成所所属→事務所所属→ヒット作のメイン声優を務めて専業声優」なんて確立されたルートがあるもんだと思っているバカは、その時点で声優になれない大多数に所属する側の人間だから、さっさと声優になることは諦めたほうがいい
・専業声優300人に要求される演技レベルは、若手でも花江夏樹さんや江口拓也さんなどのようにどんな役でも演じられるような圧倒的なものなので、声優学校に行かなきゃ演技を学べないような才能のない奴は一生到達できないのでやめたほうがいい
・上坂すみれさんや佐倉綾音さんのように、実家が圧倒的に金持ちじゃない人は路頭に迷うので声優にならない方がいい
・雨宮天さんや三森すずこさんのように商品として成立するレベルの容姿を持っていない人は企業側の儲けに貢献できないので使ってもらえない
・それでもなりたいというのならば、林原めぐみさんや洲崎綾さんのように、声優がダメでも食べていくのに困らない学歴や資格を持っていることは必須。それがなければ惨めな未来しかない
ということじゃないかね。矛盾するようだが、声優になりたい人はこれ読んで声優を諦めたほうがいい。