2500億円を超えるという新国立競技場迷走問題で、最近面白い記事が立て続けに出ているのでメモ。
クローズアップ現代「“迷走” 新国立競技場」
2008年、北京・500億円。
2012年、ロンドン・530億円。
「トウキョウ。」
そして2020年、東京・2,520億円。
流線型の斬新なデザインの新たな国立競技場。
最初1,300億円を見込んでいた建設費用は、その後二転三転していきました。
なぜこうした事態になったのか。
デザインの決定に関わった関係者が今回初めて取材に応じ、その内幕を語りました。
デザインの決定に関わった建築家
「建設コストのことについては、なんとかなるだろうと。」
「ものすごい急いでました。時間がない、時間がないと。」
日本のスポーツの歴史を刻んできた国立競技場。
その改築を巡り続いてきた、迷走の背景に迫ります。
これ読むと、コストの懸念はあったものの、審査委員長を務めた老害建築家、安藤忠雄がザハの
デザイン案を推したみたいね。あと、費用に関してきちんと考慮するまとめ役がいなかったともある。
新国立競技場の犯人探し
問題点を切り分けるための、簡単なヒントを挙げておこう。
・ランドマークのデザイン性の担保
・建築物の品質確保
・予算管理
・日程管理
それぞれ明確な責任者が居るが、キミに見つけられるだろうか?
新国立競技場の問題をかなり俯瞰的にまとめているが、肝心の犯人の答えを書いていないと、
馬鹿すぎる私には誰が犯人かわからないや。ただ、今までは老害無能建築家で、今回のデザインの
審査委員長を務めた安藤忠雄こそが主犯だと思っていたが、こうして論点を切り分けると、予算管理の
責任者は、どう考えても安藤忠雄ではないな。
映画でも家でも予算の管理者というのがいるはずで、映画ならプロデューサー、家なら施工主だな。
自分の家なら、自分が予算管理者ということになる。今回の件だと、これはどこの誰なんだろうね?
新国立競技場2520億円をゴリ押ししたのは誰か
安藤忠雄氏は、さきの有識者会議のメンバーでもある。
「だから他の委員が詳しく知り得ない“上の意向”にも通じていたのでしょう。一時間ほどの休憩をはさみ、再び委員が席に着くと、安藤さんは『日本はいま、たいへんな困難の中にある。非常につらいムードを払拭し、未来の日本人全体の希望になるような建物にしたい』という趣旨のことを口にし、ザハ案を推したのです。そこで安藤さんは全員に向かって『全会一致ということでよろしいですか』と念を押し、誰も異論がなかったので、そのまま決まりました」
皆さんもザハ・ハディド氏がデザインした新国立競技場のイメージ像はご存じだろう。安藤氏曰く、あれが『未来の日本人全体の希望』だそうだ。呵々大笑。どーでもいいけど、安藤忠雄という建築家は、ぜんぜん使えない東急東横みなとみらい線の渋谷駅を設計した人です。乗り換えるのに五分も十分も歩かされる不便駅です。
「専門家が見れば、予算の範囲でつくれないのは審査段階でわかります。だいいち、建物の一部が敷地外に飛び出しており、本来ならば失格の作品を最優秀賞に選んでしまった。せめて招致が決まった段階で、ザハ案が違反であると公表し、十分な条件によるコンペを開いて仕切り直すべきでした。それをしなかったのは、安藤さんの責任でしょう」(今回、二次審査まで残った建築家の渡辺邦夫氏)
新国立競技場建設を既定路線としたのは、JSCが新体制になってからのことだ。
「新理事長に就いたのはラグビー協会の理事・河野一郎氏でした。彼は筑波大の教授で、五輪やラグビー代表のチームドクターでもあったドーピングの専門家。英語が堪能で弁も立つことから、森氏の強い意向で二〇一六年の五輪招致委員会の事務総長に選ばれた」(スポーツ紙記者)
が、彼が力を入れたのはラグビーW杯招致のほうで、二〇一六年の五輪招致には失敗する。
「ラグビーW杯招致にばかり熱心で、IOC委員にアタックできるチャンスをみすみす逃していたと招致委員会内部からも批判の声があがっていました。それなのに招致失敗の責任をとるどころか、スポーツ行政の鍵を握るJSCのトップに就任したので、周囲も驚いていました」
安藤忠雄が無能なのは間違いないんだけど、先のエントリーでもあったとおり、彼はデザイン選定の
責任者であって、予算管理の責任者ではない。じゃあ予算管理の責任者は誰なのかといえば、
それは日本スポーツ振興センター(JSC)の長ということになるから、河野一郎ということか。
JAPAN SPORT COUNCIL「理事長あいさつ」
ってことで、犯人はこいつかな?
安藤忠雄氏「何でこんなに増えてるのか、分からへんねん」…新国立問題で初コメント
総工費の高騰が問題となっている新国立競技場のデザイン選考について、審査委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏(73)が11日放送の日本テレビ系(読売テレビ制作)「ウェークアップ! ぷらす」(土曜・前8時)にコメントを寄せた。安藤氏がコメントするのは問題が浮上して以来、初めてとなる。
「安藤忠雄建築研究所」の名前で、番組の司会を務めるキャスターの辛坊治郎さん(59)宛に出されたファクスでは「コンペの与条件としての予算は1300億円であり、応募者も認識しています。提出物には建築コストについても示すように求められていました。それは当然評価の一つの指標となりました」と明記。下村博文文部科学相が10日の閣議後の会見で発言した「値段(総工費)とデザインを別々にしていたとしたら、ずさんだと思う」との言葉に反発した。
また、辛坊さんによると、安藤氏は「デザイン決定後の基本設計や実施設計には、審査委員会はかかわっていない」と話していたといい、最終的な計画概要の2520億円という金額に関しては「辛坊ちゃん、何でこんなに増えてるのか、分からへんねん!」と驚いていたという。安藤氏が7日の有識者会議を欠席した点に関して辛坊さんは「しゃべりたい気持ちは満々らしいが、周囲から止められているらしい」と聞いているとした。
なんと!貴重な安藤忠雄のコメントを辛坊治郎氏が引き出したと!辛坊氏マジ有能!
う~ん、辛坊氏に宛てた安藤忠雄のコメントが本当なら、デザイン案に書かれていた建築コストが
嘘八百で、それを安藤忠雄は見抜けなかったってこと?だって、建築コストに疑問を示した会議出席者も
いたんでしょ、その場に。
国立競技場のコスト感(k_wota氏のツイートより)
有識者会議の第一回~第三回の議事録は公開されてませんが、エンタメ、サッカー、各ワーキンググループからの要望を全て受け入れると、とても1000億じゃ出来ないよ、というのは安藤さん、言ってるはずなんです。ところがJSCの河野理事長は、全部必要です、入れて下さい、と言って話が進んだ。
新国立の当初予算の1300億が高いのか安いのか、確かに他国の五輪スタジアムの何倍もしますが、坪単価で見ればそうでもないです。ラフな比較表を作成してみました。付帯設備の金額やら、その他厳密に条件を整えている訳ではないのですが参考までに。
このk_wotaというのが何者なのかは知らないが(ハンドルネームからすると建築ヲタってこと?)、
坪単価をベースに試算した、スタジアムの比較表を出している。北京オリンピックのメインスタジアムは
500億円で、ロンドンオリンピックのメインスタジアムは530億円なのに、なんで新国立競技場は
2500億円になっているんだよ!っていうのが主な世論だが、都心の一等地に北京のスタジアムの
6倍の坪単価、ロンドンのスタジアムの2倍もの面積のものを作って、さらに「8万人収容」「陸上トラック」
「天然芝」「開閉屋根」「可動席」など、金のかかる要件を全部入りにしたらそりゃそうなるよ、というのが
この人の主張。
つまり、今回の新国立競技場迷走問題は、アンビルドの女王の二つ名を持つザハ・ハディッドの
キールアーチによるものでも、安藤忠雄によるザハのデザイン採用によるものでもなく、JSC河野一郎
による全部入り要請ってこと?
新国立競技場の核心
安藤忠雄や、森元首相や、JSC が「ザハ案を取りたい」と思うのは勝手である。それは駄々っ子が「あれ買って、あれ買って」と超高額のオモチャを指差すのと同様だ。駄々っ子が何を欲しがろうが、それは別に問題ない。
問題は、駄々っ子の言うことを聞いて、実際に 2520億円を出すと決めた人だ。では、それは、誰か?
文科省か? いや、文科省は、駄々っ子の一人であるにすぎない。「あれ買って」と言うことはできるが、買うための金を用意できない。
財務省か? 形の上では財務省だが、これほど巨額の金を財務省の職員が一存で決めることができるわけがない。最低でも財務相(大臣)の裁決が必要だし、大臣の裁決には総理大臣の裁決が必要だ。
ここまで見ると、真相が判明する。「2520億円を出してもいい」という最終決定を下したのは、安倍首相である。つまり、彼が真犯人だ。
ということで安倍首相が犯人というのがこの人の主張なんだけど、気になるのは、たしかに彼は
権限は持っているのだろうけど、複数の選択肢から妥当な解を選ぶ能力を持っているのか、ということ。
新国立競技場の建設には2520億円掛かります、他の選択肢を検討していてはもう間に合いませんとか
言われたら撤回の判断とかできないだろ。なんかそのへんがしっくりこないんだよなぁ。
【新国立競技場】コンペ審査委員長の安藤忠雄氏が会見(テキスト速報)
有識者会議欠席したのは申し訳ない。大阪にいました。体調もよくなかった。去年、大手術しました。膵臓と脾臓を全摘しました。膵臓全部取ると大体死ぬので、まあよく生きてるなと。
私が関わったのは、2012年11月のデザイン選定まで。そこで終わりなんですよ。
全部の設計者にちゃんと値段は出してもらっています。
そうして1625億円という話が出てきた。でも私、選んだところまで。高いじゃないかと言われると。もちろん選んだ責任はあるけれど。
物価上昇もあって1700億、1800億にはなるかなとは思っていた。
皆さんと私は一緒。なんで高くなるの。もうちょいなんとかなるでしょ。と。
2520億円になったのは安藤さんのせいだ、と言われても、私は総理大臣じゃないから。
ザハを選んだのは国際公約だから、外すことはできません。
2016年の招致は負けました。2020年は勝ちたかった。ザハ案は斬新だった。勝って欲しかったから、あの案を選んだのかもしれない。
できたら、ザハのアイデアのこしてほしい。
私は1300億円で大丈夫かなと思った。こんなに大きなもの、私、作ったことないですからね。
安藤忠雄の会見書き起こしから象徴的な発言を抜き出した。ここからわかることは2点。
・安藤忠雄は建築物のコストを見積もる能力が欠如している
・ザハ案に対して異常なこだわりを見せている
ということで、国立競技場のデザインコンペに関する審査委員長であり、建築家でもありながら、
コスト感を想定することができないというのはやはり無能なのだろう。渋谷駅の悪設計により、
使い勝手が著しく悪くなり、乗降者数も大きく減少したこともふくめ、こいつは美術屋であって、
建築家ではないことは、今回の会見の内容からも明らかだ。
そして、これだけ大きくコストが膨れ上がった状態でなお、国際公約だのほざいてザハ案を残そうと
するところからして、彼がザハ案にこだわっていることも改めてよくわかった。彼の優先順位は、
ザハ案>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>建築コスト
なのだ。
森喜朗元首相 「新国立競技場の経緯すべて語ろう」
先日、共同通信が新国立競技場の連載を配信したでしょ。初回の見出しが「きっかけはラグビーW杯」だ。はは~ん、ときたね。反対してる連中は、国立競技場に反対している人たちは、戦略的に僕を一番の悪者にしようとしてるわけですね。
ところが、晴海の話はIOC(国際オリンピック委員会)からノーを食らったわけですよ。風があるから公認記録に影響するってね。羽田空港の空路のせいで空撮にも支障があるらしいんだな。2020年の五輪もヨットやカヌー、トライアスロンなどの会場を他に変えたのもそういう問題があったからなんだ。
そういうわけで五輪によって新国立競技場はあんな風に変わっちゃったんだが、共同通信の「はじめにラグビーありき」というのは実に下品な推測というか、怒りを覚えるね。
それにもう1つ。2019年にはプレ五輪がある。五輪と同じ競技場を使うわけです。それまでに新国立競技場を完成させなければならない。
それがなぜ「ラグビーW杯のために」となるのか。そんなこと言うならラグビーはWR(ワールドラグビー)と話をつけて日産スタジアム(横浜)に行くか、味の素スタジアム(調布)に行くかという話になる。だからラグビーありきではないということはぜひ理解してほしいんです。
あの有識者会議っていうのは、そんなことを決める会議ではないんですよ。投票権もないし。グラウンドの恩恵を預かる陸連とかラグビー協会とかサッカー協会とか学識経験者とかに「こう決まりました」って報告するだけ。私は当初からあんな生牡蠣をドロッと垂らしたようなデザインを見せられて「へーっ、こんなのは嫌だなあ」と思ったけどね…。
この間、舛添さんがここに来られた時、「風邪引いてる」とおっしゃるから、それで「田舎でもらった蜂蜜があるから持って帰りなさい」と言ったら「蜂蜜で買収された」と新聞に書かれてね。ホントにこの問題を漫画チックにして、僕が都知事に「都民の金を出せ」と押さえつけてるような書き方だよ。
僕が言いたいのは、2019年のラグビーW杯だけじゃなくてプレオリンピックに間に合わせないと世界中の笑い者になるぞ、ってことなんです。
次のIOC総会できちんと報告できなかったら、契約違反になる。東京都とJOCが「こういう開会式でこういう風にやります」という文書をIOCに出し、契約したんですよ。
無責任な評論家は「そんな競技場がなくても五輪はできる」とか言うけど、これはメンツの問題でもある。
新国立競技場の維持費をまかなうにはコンサートを開きたい。大きいからいろんなことをやれる。文化、経済、スポーツ、すべての集積する場にしようという計画だったんです。
日本武道館は一度も赤字を出したことはないのはなぜか。コンサートで7~8割の運営経費をまかなっている。東京ドームもポール・マッカートニーやEXILEのコンサートをやってるでしょ。屋根がないとそういうことができない。騒音問題が出て環境問題になる。
これは五輪にとっても死活問題なんです。なぜかというと開会式は半年以上前から準備する。多くのマンパワーを要するからリハーサルは夜しかできないんです。毎晩電気をつけて音楽かけてたら、たちまち騒音問題になるじゃない。
問題は総事業費だけど、そこは腹をくくって国家的事業だからということで納得してもらうしかないんです。大事なことは、五輪は国と東京都と組織委員会が協力してやることなんです。そして経費を徹底的に精査すること。僕が組織委員会にきて2000億円くらいはすでに圧縮したよ。
新国立競技場をツイッターでは森喜朗古墳なんて揶揄されていたりする渦中のこの人が、ついに
産経新聞のインタビューに答えていてこれがまた面白い。相当抜粋したのに、それでも引用が
こんなに長くなってしまった。重要な点としては、
・国立競技場の期限が2019年なのは、ラグビーW杯のためではなくプレ五輪のため。ラグビーと紐付けるのはマスコミの策略
・千駄ヶ谷よりも地価の安い晴海に国立競技場を建設する案は、風が強いのでIOCに却下された
・森元首相は個人的にはザハ案は嫌い
・舛添都知事に蜂蜜を渡したのは本当だが、「甘くなれ」みたいなこと言って買収したというのはマスコミの嘘
・森元首相にとってはメンツが大事
・新国立競技場の屋根にこだわる理由は、収益性の高いコンサートで使えないと維持費を賄えないから
・膨大なコストが掛かっても、それはしょうがないから国民は飲め
ってな感じかな。正直ね、このインタビュー読んでいて森元首相が嘘を言っているようには
見えないんだよね。島田紳助みたいに立て板に水のように平気で嘘を吐くような語り口とは
明らかに異なる印象。ってか、ラグビーの件といい、蜂蜜の件といい、マスコミにいいように悪者に
されて、総理時代同様、気の毒に思うわ。
それと、安藤忠雄とは対照的に、森元首相自身はザハ案のデザインは嫌いというのも重要な点。
つまり、キールアーチのバカ高いコストがかかるデザインは森氏の意思ではない。
ただ、この人にも問題はあって、この人の中の優先順位は、
期限とメンツ>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>建築コスト
となっているところ。プレ五輪に間に合わないとメンツが・・・とか言っていいレベルのコストじゃないだろ。
年収300万の家庭が家を建てようと見積もったら10億かかると言われたけど、もう周りに家を建てると
言ってしまっているしメンツが・・とかバッカじゃねーの!ってレベルじゃん。コストの優先順位を
軽く見すぎてしまっていて、そこを是正するように本気で動けないところは・・やっぱり無能なんだろうね。
で、ついに安倍首相が・・。これはすごいな。
新国立競技場 首相「計画を白紙に戻す」
安倍総理大臣は、総理大臣官邸で、記者団に対し、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新しい国立競技場について、「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直すと決断した」と述べ、計画を見直す方針を表明するとともに、下村文部科学大臣らに新しい計画を速やかに作成するよう指示したことを明らかにしました。
安保法案採決後の人気取りだとか批判している人もいるけど、この決断ができる政治家は正直
すごいと思う。こんな決断ができる人、日本に何人いるんだよ?世論の猛烈な批判を浴びながら、
結局2520億円+αのザハ案で突き進むものだと思っていたもの。白紙撤回にしたのはすごいわ。
ということで、このままグダグダ進むかと思ったところのまさかの政治決断で安倍首相株爆上げで
一区切りついたというのが現状か。こりゃ稀代の政治家と言ってもよいのかもしれないな。
「新国立競技場は、こうやって仕切り直しなさい」新しいプランはこれだ
■ゴタゴタの末の見直し劇の裏には何があったのか
――ついに、政府が見直しを入れようとしています。森山さんはずっと建ててはダメだと訴えてきましたが、一気に動いたのはこの2カ月ほどの出来事ですね。水面下では何が起こっていたんですか。
プロジェクトを推進するJSC(日本スポーツ振興センター)がなんとかして修正案の設計図で施工できないか、とずっともがいてたのは事実です。そこに2520億円の話が出てきた。
報道を見た政治家が、ゼネコンを呼んで説明させたら、難航していることがわかって、その話が官邸に行き、菅官房長官が下村文科相を呼び出し、下村文科相がJSCを呼び出し、「どうなってるの?」「実はうまくいってないんです」という話が共有されたようですね。
――下村文科相が舛添東京都知事に「500億出せ」というやりとりがあったあたりから、一気に報道も加速しました。
私の聞いたところでは、下村文科相と文科相の山中伸一事務次官の間で「なんで突然、2520億円なんだ」「いや、東京都に500億出させるから大丈夫です」というやりとりがあったらしいんです。
それに舛添さんが「なんで一役人にそんなことが決められるんだ」とキレた。そして官邸が下村文科相に指示して、会談を持つようにセッティングして、舛添さんはマスコミの前で「そんな話は聞いてない。500億は払わない」と言った。
あれは舛添さんのナイスプレーだったと思います。今まで「決まってることだから」と役人がこっそり進めていたことが、これで一気に財源問題、政治問題化して、報道がドカーンと増えた。そして世論が反対に傾いた。政府は政治決断を求められた。ざっくりとした流れはこういうことです。
――この問題の重要人物の一人、安藤忠雄さんは、会見で「デザインを決めただけだ」「自分はその先は知らない、国民と一緒なんだ」と言って、騒動の当事者でないことを強調していました。
国民と同じなわけないじゃないですか。審査委員長なのに。
――行政上の権限がなかったとしても、審査委員長として何かできたんじゃないかと思うのですが。
それは言えるでしょう。有力者ですから。間違いないのは、安藤さんは役人や政治家に対して、「ザハ案のままやろう」とプッシュしていたということ。「世界の安藤」として、組織委員長の森喜朗さんを信じさせて今まで沈黙していたわけですから。責任重大ですよ。でも、関西では安藤さんは神様だし、ヒーローだから、「安藤さんは悪くない、被害者だ」ってムードがあるのも事実でしょうね。
――安藤さんは「ザハ案でやりたい」とまだ訴えています。
ザハ案は捨てなきゃもうどうしようもないです。
ということで、この記事タイトルは上から目線な感じでイラッとするんだけど、経緯が俯瞰的に
まとめられているのはかなりよいと思う。面白かった部分をまとめると、
・舛添都知事が500億は払えん!とマスコミの前でキレたのは世論を盛り上げるナイスプレーだった
・安藤忠雄はクズ。この期に及んでまだザハ案でやりたいとほざき、「世界の安藤」の影響力で混乱を作った張本人
・ザハのお絵かきに14億円払うのは払い過ぎ。設計も含まれていないのに
・国際公約だからデザインは変えられないというのは嘘。IOC会長は「ちゃんと間に合わせてね」と言っているだけ
・コンペのデザイン案でちゃんと建つまともな案は伊東豊雄案だけ。ただ彼は何者かによる怪文書で誹謗中傷され落ちた
・この人は元の国立競技場を再度建てる案を推奨
・ザハ案でなければ2016年3月着工でも間に合う
・このレベルの大きさを扱ったことのある建築家はほとんどいない。数少ない一人が槇文彦。だからザハ案の無茶さに気付くことができた
ということで、やっぱり戦犯の一人と言われたりしている森元首相はコスト意識に欠ける人ではあるが、
デザインの無謀さなんかに気付けるわけないので、世界的建築家としての影響力を駆使して、
執拗にザハ案を推した安藤忠雄がクズだったというのが、あらためてひと通り読んだ上での結論。
新国立白紙撤回「良かった」とバッハIOC会長
国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は18日、ゴルフの全英オープンを開催中の英セントアンドルーズで記者会見し、2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設計画が白紙撤回されたことについて、「問題を先延ばしにせず決断したのは良かった」と評価した。
バッハ会長は五輪の競技場に求める条件について、「唯一の関心は選手と観客が使いやすい、最先端のスタジアムであること。デザインはあまり重要ではない」と語った。また、撤回の理由が建設費の高騰だったことについては「日本は妥当な金額で素晴らしい競技場を作ると確信している」と語り、5年後の五輪開催に問題はないという認識を示した。
IOC会長が今回の白紙撤回を評価するコメントを寄せたようだ。ということで、安藤忠雄が言っていた
「ザハを選んだのは国際公約だから、外すことはできません。」というのが嘘なのがバレてしまったね。
英団体「日本はロンドンの失敗から学んだ」 ハディド氏デザインの五輪施設は「工費3倍」
建設計画が白紙撤回された東京の新国立競技場をデザインしたのは、イラク出身の女性建築家ザハ・ハディド氏(64)。2012年ロンドン五輪では水泳センターを担ったが「野心的なデザインの結果、工費が3倍に膨れた」(英紙ガーディアン)と批判されるなど、過去にも物議を醸してきた。
水泳センターは波形の屋根が特徴。見た目は美しいが工費は見積もりを大幅に超過し、建築を簡素化しても約2億7千万ポンド(約522億円)にかさんだ。
英市民団体「納税者連合」のアンディ・シルベスター氏は17日、日本政府の白紙撤回について「ロンドン五輪ではそのような勇気ある決定がなされず、市民は高額な請求書を押しつけられた。日本はロンドンの失敗から学んでいる」と評価した。
全然学んでないけどな。学んでたらザハ案を採用したりしないし、安藤忠雄を審査委員長にはしない。
ロンドンの失敗の轍を踏まずに済んだのは、ときのリーダーが決断力のある人だったというだけだよ。
日本も安倍首相以外が首相だったら同じことになっているよ。しかしザハは前科があるのか。ひどいな。
新国立競技場と安藤忠雄
安藤忠雄は、「デザインだけを考えたから、コストについては承知していない」というふうに述べた。
しかし、このことが逆に、「彼が真犯人であったこと」を自白していることになる。
なぜか? なぜなら、そもそもコンペの横暴要綱には、「1300億円」という条件が記されていたからだ。
この人すごいね。最終責任者(=response abilityがある人)が安倍首相であるという点を早くから
見抜いていた点で。そして、文科省の事務次官も、文科相も総理大臣も、責任はあるものの、
専門性があるわけではないのに対して、安藤忠雄は専門家としての役割を期待されながら、
それを放棄し、コストについて承知していないとかほざいている時点でクズなのがよくわかる。