2015年2月7日土曜日

一次ソース付けた「日本人は野菜の摂取量がアメリカ人より少なかった!」

日本人は野菜の摂取量がアメリカ人より少なかった!
■「日本人よりもアメリカ人の方が野菜摂取量が多い」という事実を知らない人が85.4%
 日本人とアメリカ人、どちらのほうが1日の野菜摂取量が多いと思うか聞いたところ、「日本人(85.4%)」と回答した人が「アメリカ人(14.6%)」と回答した人を大きく上回る結果となった。農林水産省が平成25年1月に発表した「野菜の消費をめぐる状況について」によると、2009年度の日本人1人1年あたりの野菜摂取量は102kg(1日平均約280g)に対してアメリカ人は123kg(1日平均約340g)。日本人の野菜不足が1993年以来年々深刻化しているにも関わらず、自身の野菜不足に気付くことのできない日本人が多いことが分かった。
最初このニュース見たとき、アメリカではピザも野菜に入るのにこんなことドヤ顔で主張してて
バッカじゃねーの!って思ったんだけど(詳しくはアメリカの学校給食とジャンクフード会社の癒着に
関するこの記事参照)、それを言うためには元記事の主張が何を根拠にそんなことをほざいているのか
確認しなければならないから、カッとなって一次ソースまで追ってみたよ。

結論先に書いておくと、「摂取量」ではなく「供給量」なんだけど、おそらく比較品目は同じっぽい。
まず、元記事の主張する日本人よりもアメリカ人のほうが野菜を食べていると主張している根拠は、
「農林水産省が平成25年1月に発表した「野菜の消費をめぐる状況について」」だと書いている。
その資料がこれね。8ページ目が該当箇所。
農林水産省「野菜の消費をめぐる状況について」
これを見るとFAOSTATというのを元にデータを出したとのこと。ざっくりした表記だな・・。
で、頑張っていろいろ検索していくと、下記のページでデータを出せばいいみたいね。
http://faostat.fao.org/site/609/DesktopDefault.aspx?PageID=609#ancor
ここで、
contryをJapanとUnited States of Americaの2つを選択した状態にし、
itemをVegetables + (Total)を選択し、
yearを1980から2009まで選択し、
elementをFood supply quantity (kg/capita/yr)を選択し、
nested by:element
Y1-axis:item
Y2-axis::year
X-axis:country
にしてshow dataボタンを押すと、画面下方に下記の表が現れる。
ということで、農林水産省のグラフと大体一致した数字になったかと。「food supply quantity」だから、
野菜の「摂取量」ではなく「供給量」っていうところが引っかかるのと、Vegetablesの項目に何が
入っているのかわからないなど、突っ込みどころは多いものの、一応品目に関しては共通ソースの
共通基準で出しているらしいところまではわかった。とうもろこしとかね、この中に含まれていたら、
シリアルをよく食べるアメリカ人は野菜をよく食べていることになるね。

ということで、今度は極力項目をばらして、ポテトとかシリアルとか米とか、アメリカで野菜と分類
されそうなものも含めて個別表示をしてみた。画像はクリックして拡大して見てね。

で、ここからわかるのは、確かに日本人の一人あたりの野菜供給量は減っているみたいね。
「Vegetables,Other」の項目がめっちゃ減っている。アメリカはというと、たしかに米やらポテトの
供給も増えているんだけど、シリアルはそんなでもなくて、特にトマトが増えている。
トマトと玉ねぎがこれだけ増えているなら、アメリカの一人あたりの野菜供給量が増えていて、
その辺が要因で日本の一人あたりの野菜供給量を抜いたと言われても納得していいかもね。

ということで結論をまとめると、
・記事のソース元、農林水産省の「野菜の消費をめぐる状況について」に関しては共通ソース、共通指標で比較をしている
・今回のソースではおそらくピザが野菜に含まれるようなことにはなっていないと思われる(他国との比較ができなくなるだろうから)
・特にトマトの消費が伸びて、アメリカは日本の野菜消費量を抜いたみたい

という感じかな。結論として元記事支持という意外な結末になってしまった・・・。