「どうして人を殺してはいけないのですか?」みたいな質問が子供から出て、大人が答えに窮する
みたいな話をときどき聞いたりするが、そもそも自然や宇宙は別に「人を殺してはいけない」などと
規定はしていないわけよ。あくまで法律や宗教・倫理がそう規定しているに過ぎない。つまり人類の
営む社会システムが「殺人はいけない」と規定しているということになる。
では、殺人を禁止する規定がない社会では一体何が起きるのか?興味深い実話があったので
紹介しよう。この話を読んだ上で、「果たしてお前は人殺し容認の社会で生きたいか?」というのが
冒頭の質問に対する答えになるかと思う。
孤島に女1人と男32人。アナタハン島で起こった、女をめぐっての殺し合い
リンク先、ちょっと長いので簡単に内容をまとめておこう。
・戦時中、サイパン島の近くにあるアナタハン島という孤島で32人の男性と1人の女性が生活することになった
・彼らは最初は食料確保等の生活を共同で行いうまくいっていたが、しばらくすると1人の女性をめぐる争いが発生する
・ある日彼らは山の中で墜落した米軍戦闘機B29の残骸を発見。そのそばで拳銃4丁と実弾70発が発見される。拳銃4丁は壊れていたが、使える部品を集めて組み立てなおしたところ2丁の拳銃が出来上がる
・2人の男が拳銃を持ったことで、集団の中に力関係が発生する。2人の男は銃で脅して女を抱くようになった
・銃を巡って死者が続出するようになる。銃はいろいろな人の手に渡ったが、毎回、銃の所持者が女性の夫となり、彼女を抱くという構図は変わらず
・状況の打開を図るため、集団の最年長の男がみんなに提案をする。内容は、女性が好きな人を夫に選び、その人と結婚をし他の人は女性に手を出さないこと。そして、銃は海に捨てることだ
・この提案が受け入れられ、平和な島になるかと思いきや、その後も4人の男が死んだり行方不明になったりと、現状は変わらなかった。島の生活5年経過で32人の男は19人になっていた
・女性を正式に結婚させても、銃を捨てても、女性を巡っての殺人は起き続ける。残った男たちで「どうすれば殺し合いをやめられるのか」を話し合った結果、「女性を処刑する」という結論になった。翌日女性を殺すということで全員が一致した
・だがその日の夜に、1人の男が女声の小屋を訪れ、会議の内容を伝える。「逃げろ。殺される。」
・女性は小屋を飛び出し、ジャングルに逃げ込み野宿を始める。33日後、沖でアメリカ船を発見し、救助を求めたことで、保護され、そこで戦争の終結を知る
・その後しばらくして島の男性たちも救出された
・だが、この女性をめぐる一連の殺人・行方不明の事件が明るみになると、マスコミが大々的に報じ、女性は「アナタハンの女王」「32人の男を相手にハーレムを作った女」「女王蜂」「獣欲の奴隷」「男を惑わす女」などと書き立てられることになった
と、まとめても結構長くなってしまったな。つまり結論として、「人を殺してはいけない」という規定が
ない社会で男性と女性が共同生活を行うと、人殺しの道具である銃を持った人間が権力を持ったり、
女性を巡って殺人が起きまくるということだ。はっきり言ってそんなに綺麗とは言えないこの女性を
巡ってですらだよ!
ということで、こんな生命の危険を常に脅かされるような社会をみんなが嫌がった結果、今の
「人を殺してはいけない」などの法律が規定された法治国家ができたというのが冒頭の質問に
対する答えになるだろう。